BROKEN MIRRORSシリーズ
水木塁『Portraits of a Weed/Urban Geology』
水木塁は写真家であり、スケートボーダーでありDJだ。この春、『VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─』に彼の新作が展示されたが、それはアートのテクスチャーと、世界の路上に偏在する生なテクスチャーが混在した平面だった。しかしそれはカオスではなく、調律された美学が生み出されていた。
水木塁は、鏡を廃車工場に持っていき、そこで割った。ジャンクヤードの中に散らばる鏡の破片、荒地の草たち、散乱するヒカリ。渾然とした光景を水木はサイアノタイプ(青写真)で仕上げる。
その静かな写真は、なぜか中世の蒔絵や砂子、あるいは琳派を連想させる。
RUI MIZUKI
1983年、京都府生まれ。京都市立芸術大学美術研究科メディアアート領域博士号取得。都市環境に積極的に関わる即物主義者としてのスケートボーダーに着目し、身体感覚、空間、イメージ、建築の概念に基づいた学際的な手法によって「新しい社会的風景の可能性」について様々なメディアを通して作品化している。近年の主な展覧会に「VOCA展2020」(上野の森美術館、2020)、個展「東下り」(WAITINGROOM、2019)、「行為の編纂」(TOKAS本郷、2018)、個展「C’s」(RMIT PROJECT SPACE、2017)、個展「鏡と穴-彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁」(gallery αM、2017)、「NEO-EDEN」(蘇州金鶏湖美術館、2016)などがある。
発行元:アートビートパブリッシャーズ supported by FUJIXEROX
発行日:2020年11月発売
サイズ:318×236mm
ページ数:60
価 格:3,500円+税