著:後藤繁雄
1994年/リトル・モア
『1990年のウェイスティッドランド』が、高橋恭司と世界の文化的辺境をまわる旅日記だったのに対し、これは93年の1年間、「広告写真」を通して東京に対してアプローチした記録。ここに登場する写真家が育った'70、'80年代は、日本において脱政治的な時代だった。'70、'80年代の東京における、アート、ファッション、写真の文化のスタイルは、それ自体が持つ固有の文脈から切り離され、商品サンプルのように同じテーブルに並べられた。単一民族、単一言語、そして「脱政治化」をとげた過度の消費社会、その中で多くの写真家は感覚を育んだ。この本は写真を分析するのではなく、写真家にとって次のヒントとなるべく書いたオマージュである。僕は、その人が次につくり出す写真を見たいだけなのだ。
目次から—
十文字美信/高橋恭司/上田義彦/森川昇/小林和弘/高木由利子/冨士原美千代/大坂寛/白鳥真太郎/菅原一剛/小林鷹/大沢尚芳/金子親一/羽金和恭/斉門富士男/小林響/宮本一郎/蔵田好之/長島有里枝/ホンマタカシ/他