BROKEN MIRRORSシリーズ
梅沢英樹『Reflection and Some Surfaces』
写真は社会全体がデジタルトランスフォームする中で、極めて先端的な場所になった。動画やプロジェクション、Instagramなど、augment拡張が行われた。世界をハイディメンショナルそのままに捉えたいという人間の衝動が、さらに写真を進化させたのだ。
梅沢英樹は、SOUNDとVISIONのアーティストである。ハイディメンショナルな表現者だ。彼は鏡を河原に持っていき、破片に砕いた。そしてそのフラグメントを、河原の自然石と併置する。その鏡は森や水や石や空が写り込む。そして、その光景を写真に撮る。もちろん鏡には、アンビエントな音は写らない。しかし、梅沢英樹の一連の撮影から出力にいたる営為は、そのプロセス自体がパフォーマティブであり、演奏行為にもなぞらえることができるのではないか。
HIDEKI UMEZAWA
1986年、群馬県生まれ、東京都在住。東京藝術大学大学院美術研究科修了。2018年「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD」グランプリ受賞、2015年「リュック・フェラーリ国際コンクール/プレスク・リヤン賞」受賞。サウンドインスタレーションを中心とするアートワークの制作のほか、電子音楽作品の発表を精力的に行い、EMS(ストックホルム)での滞在制作やIna-GRM(フランス)での作品発表を行うなど分野横断的に活躍する。主な展示に「Audiosphere」(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía、マドリード、2020)、「0℃」(ICC、東京、2019)、「深みへ-日本の美意識を求めて」(ロスチャイルド館、パリ、2018)、「つまずく石の縁-地域に生まれるアートの現場」(アーツ前橋、群馬、2018)など。
発行元:アートビートパブリッシャーズ supported by FUJIXEROX
発行日:2020年11月発売
サイズ:318×236mm
ページ数:52
価 格:3,500円+税